腎盂炎に関する記事

腎盂炎

2017年9月6日 2017年09月08日 投稿者: oj-youtu

 

腎盂炎とは

腎臓はからだの左右に1つずつあり、中央の内側には「腎門」と呼ばれるくぼみがあり腎盂や腎動脈、腎静脈、輸尿管、リンパ管などが集まっています。

中でも腎臓の中心に位置する「腎盂」は外側でつくられた尿を集め、尿管までの架け橋をする大切な場所です。

この腎盂に何らかの細菌が侵入、炎症を起こす病気を「腎盂炎」といいます。

急性腎盂炎と慢性腎盂炎

腎盂炎には急性と慢性があり、急性腎盂炎は一時的なものですが慢性となるとその症状および治療は長引き状況が悪化して腎不全になる場合があります。

腎盂炎の症状

急性腎盂炎

急性腎盂炎の症状として寒気や震え、38度を超える高熱が出始め、悪心・嘔吐(おうと)、全身の倦怠感の症状が強く出ます。

他の症状としては、腎臓のあたりの痛み、腰痛があり、また頻尿、残尿感、排尿障害、膀胱炎を伴うことがあります。

慢性腎盂炎の症状

慢性腎盂炎の初期症状は、頭痛や倦怠感が出る場合がありますが、いつもより調子が悪いが、自分でもどうおかしいかがわからない状況や、全く症状が出ないこともあります。

但し、症状が悪化していくと、腰部に痛みや発熱などといった急性腎盂炎と同じ症状が現れ、さらに病状が悪化すると、腎機能障害や不眠や嘔吐・昏睡状態にもなる(尿毒症)危険性があります。

腎盂炎は発症した年齢によって、出やすい症状が異なります。

腎臓疾患・腰痛などの局所の症状よりは、主に発熱、ひきつけ、食欲不振、嘔吐などの全身症状が現れやすい子供に対して、お年寄りでは、反対に全身症状が現われにくい傾向にあり、高熱が出ないこともある為、気づかないまま腎盂炎が慢性してしまったということがないように細心の注意が必要です。

腎盂炎の原因

急性腎盂炎の原因として、尿道から膀胱に入った細菌(グラム陰性桿菌、グラム陽性球菌)が、逆流した尿によって腎臓にまで運ばれ、腎盂や腎杯に感染をおこすからと言われています。

他の原因として稀ですが、身体の他の感染部位から細菌が血液やリンパ液に侵入し、直接腎臓に運ばれて感染する場合もあります。

感染の多くは、片側の腎臓にだけおこりますが、両側のこともあります。

※グラム陰性桿菌…大腸菌、プロテウス、緑膿菌、クレプシエラ、セラチア、シトロバクター

※グラム陽性球菌…ブドウ球菌、腸球菌または、若い女性が膀胱炎と伴って起こる急性腎盂炎場合は、大腸菌による感染です。

慢性腎盂炎のメカニズムの急性腎盂炎と同様で、腎盂や腎実質で繰り返された細菌感染したことが原因であり、細菌感染することで、尿が膀胱から尿管、腎臓へと逆流(膀胱尿管逆流)し、その症状が長く続くことで慢性化します。

腎盂炎の治療

急性腎盂炎の治療で必要なのは安静と水分を十分にとる事で尿を多く出すことが重要です。
腎臓の疾患での影響や吐き気などの症状でどうしても水分がとりづらい場合は点滴を行います。

水分補給を行いながら抗生物質や化学療法も行い、しばらくの間は絶食になります。

高熱、悪心・嘔吐、全身の倦怠感の症状がなくなってから食事をとっていただき薬も内服薬に変更します。

そのまま治療を行い症状がすべておさまった時点で、造影の検査で尿路に結石や異常がないかを確認します。
異常がなかった場合は治療が完了します。

もし異常がある場合や、今後症状が再発するようであれば、泌尿器科で診察してもらい原因を調べることが必要です。
但し、急性腎盂炎は再発の可能性も多く、おさまっていた炎症を引き起こす為、痛みがなくなっても3か月間は経過観察が必要と言えます。

慢性腎盂炎の場合、治療の前に尿検査を行い尿に膿や細菌が出ていないかの確認を行います。
もし、膿や細菌が見つかった場合が腎盂腎炎の可能性がある為、血液検査を行い腎臓の状態を確認します。

腎臓を調べる理由として、腎臓は血液をろ過して尿を作りますので、血液を調べることで腎機能に異常がないか確認することができるのです。
それに加えて、CT、超音波審査などの画像診断にて尿がたまっていないか、腎盂炎の原因として考えられるものが写っていないかを調べます。

治療法としては化学療法で、尿中の細菌や膿を除去し感染の原因をなくしていくことが重要であり、定期的に血液検査を行い、腎臓機能の悪化となる物質の数値を確認し問題ないか確認します。