腰痛疾患に関する記事

心因性腰痛

2017年9月6日 2017年09月06日 投稿者: oj-youtu

心因性腰痛とは、心の問題によって腰痛の痛みがひどくなっている状態ことを言います。心が腰痛に関係あるの?と思われる方もおられるかと思いますが、近年原因不明の腰痛、治りにくい腰痛の背後に、心の問題が関わっているケースが多いことが分かってきました。
検査を行っても腰痛を引き起こすような骨の異常や病気が見当たらない、また画像検査で骨の異常が見つかっても、必ずしも訴えている腰痛の症状と一致しないこともよくあります。

このように原因が不明のまま、3ヶ月以上も続く慢性的な腰痛を訴えるケースが多くなります。
原因不明とされてきた慢性腰痛の中には「心因性腰痛」がかなりふくまれています。慢性腰痛を訴える患者さんの約80%に抑うつ状態が見られるともいわれ、ストレスや心の問題が腰痛に大きく影響していることが分かっています。

病気以外の原因で腰痛が起きる?

病気が原因ではなく保存療法などで治療しても腰痛に対して効果が出ていない場合は、心理的要因が大きくかかわっていると考えられています。

腰痛に「なぜ心理的要因?」と考えられる方も多いと思いますが、腰痛の発症に関わり、腰痛を慢性化させ、再発率を高める危険因子であると考えられることが多いのです。

人は、絶望感・恐怖・怒り・不安・無力感・抑うつ感などを感じている時、痛みをより感じやすい状態になっています。また、このような感情的なものではなく、体が非常に疲れている・眠れない・不快・孤独・運動不足など肉体的な理由のある場合も、通常より痛みを感じやすい状態といえます。腰痛の原因となるストレスも個人個人によって様々です。
人間関係のストレス、仕事の忙しさ、私生活における孤独感などなど精神的ストレスが腰痛という形で現れるのです。

レッドフラッグチェック

腰痛患者を診断する場合、筋肉や骨などの原因を調べるほかに「内臓疾患が原因ではないか」を『レッドフラッグ』というチェック項目を使って調べます。

『レッドフラッグチェック項目』

  • 発症時の年齢が20歳未満または55歳以上
  • 交通事故や高所から転落した経験がある
  • 徐々に痛みが発生している。
  • 悪性腫瘍の既往歴がある
  • 夜間にも痛みが発生する。
  • 腰痛の症状が楽になる姿勢がない
  • 特定の動作で痛みが出るのではなく常に痛みがある
  • 急に体重が減少した(原因不明)
  • 腰以外に体全体の調子が悪い
  • 糖尿病になったことがある。
  • 過去に腰痛に手術を受けたことがある。
  • 胸に痛みがある。
  • 尿路感染症になったことがある。
  • 身体はゆがんでいるまたは変形している。
  • 長い間ステロイドを使用してきた。
  • 腰の痛みから前屈できない期間が3か月以上ある。

レッドフラッグに該当した患者には、画像検査や血液検査をして、
「重大な脊椎病変」がないかどうかを調べます。

『レッドフラッグ』がない場合は、
時が経てば、自然に治ってしまう種類の腰痛と考えられています。

イエローフラッグチェック

対して、『イエローフラッグ』ついては、「心の部分・社会の部分」についてのチェックを行います。

例を挙げますと、

こころの問題

・痛みへの恐怖心や強い不安感・いつも痛みのことばかり考えてしまう。
・抑うつ状態になり、少しのことでイライラしたりやる気が出なくことがある。

診断と治療の問題

・腰痛に関して想定していた診断結果や説明と異なっていた為、混乱・絶望したことがあった。

腰痛に関する認識

・重病ではないのに重病であると思い込んでいる為、社会復帰する意欲がない。

社会復帰意欲の低下

不適切な治療の安静

・治療者や医療機器に対する依存心が強く、不必要な治療や安静を続ける。

家族の問題

・配偶者やパートナーに対して、良い事も悪い事も含めて心が通じていない。

家族の問題

ストレスの多い仕事

・配偶者やパートナーに対して、良い事も悪い事も含めて心が通じていない。
・不満のある仕事。
・職場のコミュニケーション不足。
・仕事にやりがいがない。

などがあります。

心因性腰痛の治療と対策

心因性腰痛に対しての対策はストレスをためないことなどが最も重要です。

その方法として、まず必要なことはそのストレスの原因となっていることを知ることであり、そのストレスの原因を回避する方法を理解することです。

まずは、腰痛が出ている時間と、腰痛が出ていない時間を思い出してみます。

例えば、仕事の合間は痛むけれど、仕事が終わって、友達をカラオケに行っている時間は痛みに気づかなかった。と言うように、数日間記録を取ってご自身の痛みが出る傾向を調べてみましょう。

では、痛みの傾向がわかれば次にその痛みを回避する必要があり、方法として以下の方法があります。

  • 相談できる相手に、気がすむまで話を聞いてもらう。
  • ストレスの原因となる環境から離れる。
  • ストレスが発散できる方法を探す。

それでも、自分で原因が解決できなかったまたは原因がわかっていても痛みがおさまらない場合は、医師や心理カウンセラーに相談して治療することも必要と言えます。

もし、相談をお考えであれば、連携療法を受けてみてはいかがでしょうか?

認知療法・行動療法

ストレスや不安要素が強くなることで、今までは適応できていたことに対しても、適応ができないまたは痛みや不快感が現れることがあります。
認知療法はその適応できない痛みや不快感に対して
・患者の気持ちを十分に理解したうえで、改善点を見つける。
・患者の自動思考に対して焦点をあて、認知の歪みを修正する。
といった事を行い、
行動療法は、痛みと行動の関係を知ったうえで、日常できることを少しづつ増やしていく治療方法です。

連携医療

連携療法とは、1人の患者様に対して、内科・整形外科・心療内科・精神科などの医師が連携して、

  • 内科:リハビリや筋トレなどの治療
  • 整形外科:消炎剤や抗不安薬・抗うつ剤の処方
  • 心療内科・精神科:ストレスや不安などの心の問題を取り除く

といった心理面・肉体面の両面から慢性腰痛の治療を行います。

今までは、総合病院の中で連携療法を行うことがあり、年々増加傾向にあることを聞きますが、地域によっては、町の診療科と心理カウンセリングルームが連携して行っている場合も多いようです。

心因性腰痛のQ&A

慢性腰痛の原因は鬱病など精神疾患と関係ありますか?
うつ病の原因の一つでもあるセロトニンやノルアドレナリンなどといった物質には、慢性的な痛みと深い関連があります。そのような物質を正常化する為に慢性的な腰痛の方にうつ病の薬を処方することもあります。
慢性腰痛で毎日がつらいですが、何か良い方法はありますか?
最近では、痛みと精神的な要素には密接なかかわりがあることがわかってきました。長引く痛みは辛いですがリラックスを心がけたり、趣味を楽しんだりと精神的なケアを心がけてください。
腰痛の原因が精神的ストレスということはありますか?
腰の筋肉や骨、椎間板、神経などに異常がある腰痛が一般的ですが、ストレス、不安、鬱(うつ)などの心の不調が原因となっている腰痛もあり、心因性腰痛症と呼ばれてます。