腰痛治療に関する記事
お灸が腰痛に効く理由とは|腰痛名医.COM
お灸とは
お灸とは、一般的にヨモギの葉の裏側に生えている産毛を精製したもぐさに火を点じ、患部をゆっくりと温める施術法です。
以前は、焼灼灸や打膿灸というようなやけどのリスクがある灸法、わざとやけどを作る灸法も行われていましたが、最近は熱くない灸法が一般的となっています。
お灸は火をつけると独特のにおいがするため、気になる方も少なくありませんが、近年は火を使わないタイプのお灸も開発されています。
お灸の効果
お灸には様々な効果があります。
血流改善や痛みの緩和
温熱刺激により周囲の毛細血管が拡がり、血管を流れる血流が良くなります。
温熱効果によって血管が収縮・拡張することによって局所の充血やうっ血を調整し、炎症を和らげて痛みを緩和する効果もあります。
免疫や代謝機能の向上
温熱刺激を与えることで、サイトカインが分泌され、白血球が活性化されることから、免疫力が向上します。
皮膚の下にある筋肉や血管、リンパ節が刺激されることで細胞が活性化し、リンパの流れが改善され、むくみの解消にもつながります。
腸内環境改善
東洋医学では、皮膚表面と内臓を結ぶ情報伝達系のルートを経絡といい、その上の特定の場所を経穴(ツボ)と呼びます。その中には自律神経を整え、胃や腸の運動を促すツボ、腸のデトックスを促すツボなどもあります。これらのツボをお灸で刺激することにより、胃腸の活動が活性化され、腸内環境の改善が期待できます。
腰痛をお灸で緩和できる理由
東洋医学には、「瘀血(おけつ)は万病の元」という考え方があり、血行が悪くなった部位に不調が生じると考えられています。お灸の温熱効果で、血流を促進し、腰痛の緩和が期待できます。
腰痛の原因は様々ですが、なかには筋肉や筋膜の緊張が原因のものもあります。筋肉や筋膜が硬くなると、血液の循環が悪くなり、疲労物質や痛みの物質が局所に停滞します。それで腰痛が発生します。お灸をすることで、筋肉や筋膜の緊張が緩めて、圧迫されていた血管が元通りになり、疲労物質や痛みの物質を体外へと排出でき、痛みが緩和します。
お灸にはもぐさが用いられますので、リラクゼーション効果が期待できます。
お灸の温熱効果と香りによって心身ともにリラックスすることで、自律神経のバランスが整い、身体が持っている自然治癒力を高めることが可能となり、痛みの緩和が期待できます。
腰痛をお灸で緩和する時の注意点
お灸は腰痛改善法の一つですが、実際にお灸をする際は以下のような点に注意する必要があります。
鍼灸師にやってもらうか、2人1組で行う
お灸は経験のある鍼灸師にやってもらった方が一番安全です。
自宅で行えるお灸もありますが、火を使ったお灸をする場合、なるべく2人1組で行うことがおススメです。腰は自分から見えない場所なので、家族にお灸を置いてもらった方が楽です。
そのまま寝ないようにする
お灸にはリラクゼーション効果があり、患部がじんわりと温かくなるため、眠気に襲われることもあります。ただし、そのまま寝てしまうと、やけどのリスクが高まると言われていますので、要注意です。
ツボの周りに集中してお灸を置かない
腰痛を効果的に改善するためには、腰痛に関するツボにお灸をすえると効果的です。ただし、一つのツボの周囲に置くお灸は、たくさん置いたから効果が上がるわけではありません。一つのツボには多くても3つのお灸までにしましょう。
腰痛が激しい時には行わない
ぎっくり腰など、腰痛がひどい場合はお灸を避けた方が良いです。お灸の温熱効果が逆に炎症状態を悪化させて、回復を遅らせる可能性があります。
気分が悪くなったら休止を
初めてお灸をする場合は、お風呂でのぼせたように気分が悪くなる方もいます。これは「灸あたり」といい、刺激量が強かった場合に起こります。もしお灸で気分が悪くなったら、2~3日間はお灸を休止した後、弱い刺激で再開するのをおススメです。
お灸のメリットとデメリット
メリット
- 筋肉や筋膜の緊張に起因する腰痛の改善が期待できる
- 自宅でもできる(ただし、2人1組で行うことがおススメ)
- 副作用が少ない
デメリット
- やけどのリスクがある
- 自宅で行う場合は、部屋ににおいがつく
- ぎっくり腰や腰痛がひどい時は行えない