腰痛疾患に関する記事
骨粗しょう症・圧迫骨折
骨粗しょう症とは
骨密度の低下または骨質の劣化により骨強度が低下し、骨折しやすくなる疾患あるいはその状態を骨粗しょう症といいます。腰の場合は椎体と呼ばれる背骨が脆くなり、圧迫骨折といったことが原因で症状が現れます。
骨粗しょう症は自覚症状が現れにくいため、X線で確認しないと見つからないこと多い為、骨折して初めて骨粗しょう症がわかったというケースが多いです。
症状としてちょっとした転倒やしりもち、せき・くしゃみなどのほんの少しの負荷で骨折(圧迫骨折)し、背中への痛みや腰痛が起こります。
体をうごかす、前かがみになると痛みが増し、寝たきりになることもありますが、あまりの痛さに寝返りをうてない、仰向けに寝られないということも見られます。
潰れた骨がひっつくことで痛みは徐々に落ち着きますが、骨が正しく癒合しないと
- 背が低くなる。
- 背中が後方に湾曲し丸くなる。
- 背骨のバランスが取れない。
- 慢性の痛みが残る(背中・腰)
- 骨が変形・骨棘化(脊髄や馬尾神経を圧迫)
といった症状が現れます。
骨粗しょう症の原因
骨粗しょう症の原因として考えられる内容をいくつか挙げさせていただきます。
加齢
年齢を重ねる毎にホルモンバランスの変化が原因で腸からカルシウムを吸収する働きが悪くなります。
加齢は誰にでも必ず起こります。
女性ホルモンの低下
骨の代謝には女性ホルモンの「エストロゲン」が深く関わっており、骨の形成を進め、骨の破壊・吸収を抑える働きがあります。
しかし女性が50歳前後で閉経を迎えると、エストロゲンの分泌が急激に減るため骨量が減少します。
無理なダイエット
過剰なダイエットは栄養を不足し、体型だけでなく骨も細く弱くするため、体全体に悪影響を与えます。
運動不足
運動することで骨に適度に負荷がかかり、骨が丈夫になります。
ただし、成人まで何も運動はしていなかった、または成人後に運動をしていない方は骨が鍛えられていないため、骨自体が弱く骨折しやすいと考えられます。
栄養不足
骨の主成分はカルシウムであり、カルシウムが低下すると骨量も低下するためカルシウムの吸収に必要なビタミン?の摂取が必要になります。さらにビタミン?を活性化するのに日光が必要な為、家に引きこもらず、外出することが必要です。
ストレス
ストレスが影響で腸からのカルシウムの吸収が少なくなります。
アルコール・カフェインの過剰摂取
アルコール・カフェインを摂りすぎることで、カルシウムの吸収を抑えてしまい、尿と一緒に流してしまいます。
喫煙
タバコに含まれるニコチンが血流を悪くします。血流が悪くなると骨に必要な栄養がうまく回らず、胃腸の動きも悪くカルシウムの吸収を低下するため骨密度が低下し骨折しやすくなります。
他の疾患の影響
糖尿病、肝臓病、慢性腎臓病、甲状腺疾患などの病気の影響で骨量が減ることがあり、腰痛の症状のほかに腹部や背中に痛みが出ている方は早急に病院での診察・治療が必要と言えます。
骨密度のはかりかた
骨密度の測定は自治体または病院で検査を受けることができ、検査方法として以下のような方法があります。
- 骨粗しょう症検診
- 健康診断のオプション
- 病院での診察・検査
- 検診に使用する機械
- DXA
- 超音波検診
骨粗しょう症の予防対策
骨粗しょう症にならない為には食事や運動といった生活習慣の見直しといった予防対策をとる必要があります。
食事について
骨粗鬆症を予防するには、カルシウムとカルシウムの吸収を助けるビタミンDを多く含む食品を食べることが重要です。
カルシウムは乳製品や大豆製品、小魚、緑黄野菜、海草などに多く含まれていますので毎日の食事にバランスよく取り入れることが骨粗しょう症の予防につながります。
しかし栄養バランスに気を付けている方でも、カルシウムの摂取が不足してしまう事が多いようです。
運動について
骨を丈夫にするためにはカルシウム・ビタミンDをとることが必要ですが、それと同じくらい運動が大切になります。
理由として、運動は骨の血液の流れをよくし、骨を生成する細胞の働きを活発にするからであり、他にも、 運動の効果によって体の筋力があがり転倒する可能性が少なくなる為、骨折の防止にもつながります。
骨を強くするための運動は、重量挙げのような負荷の大きい運動ほど有効ですが、ウォーキングなど自分ができる範囲から毎日続けて運動していくことが重要です。
骨粗しょう症の治療
骨粗しょう症の治療法は予防対策と同様で、バランスが取れた食生活と骨を強化するために負荷をかけながら鍛えることが重要ですが、他の方法として、薬を摂取する方法があります。
骨吸収を抑制
- エストロゲン
- ビズフォスフォネート製剤
- 塩酸ラロキシフェン
- バドキシフェン酢酸塩
- カルシトニン製剤
- デノスマブ
骨の形成を促進
- 活性型ビタミンD3製剤
- ビタミンK2製剤
- テリパラチド
- その他 カルシウム製剤
腰痛の原因となった場合の外科手術
脊椎固定術
椎体形成術(BKP手術)
局所麻酔にて背部より、圧迫骨折部分(骨折した椎体)に3㎜程の風船がついた針を刺し、風船を膨らませ「骨セメント」を充填、椎体を安定させます。
手術での創は小さく、手術時間1時間程度で済み、合併症も少ない為、安全性・有効性が高いと言われていますが、重度の神経圧迫などといった場合の圧迫骨折には適応していません。
脊椎刺激療法(SCS法)
治療のしくみとしては痛みの信号が神経を経て脊椎に伝わり、脳へと伝達され「痛み」を感じます。
そこで「痛み」を伝える脊椎に電気刺激を与えて、脳の「痛み」信号を伝わりにくくすれば「痛み」が緩和されるとされます。
したがって脊椎刺激療法は痛みの原因を取り除くのではなく、「痛み」を和らげるための治療法です。