卵巣腫瘍に関する記事
卵巣腫瘍
卵巣腫瘍とは
卵巣は子宮の両側に位置する一対の卵子をつくるための器官であり、この卵巣にできる腫瘍を総称して「卵巣腫瘍」と言います。
「卵巣腫瘍」には「卵巣嚢腫」と「充実性腫瘍」に二つに分かれ、さらに「充実性腫瘍」には良性と悪性が存在します。
「充実性腫瘍の悪性=卵巣がん」になります。
卵巣腫瘍の分類
卵巣腫瘍は、大きく3つのタイプに分類されます。
表層上皮にできるもの
卵巣腫瘍の中で最も多いのが卵巣全体を包む表層上皮にできるタイプの腫瘍です。
嚢胞とよばれる袋状の構造で、その中身は多くの場合に水溶液か粘液ですが、細胞組織などが詰まった充実性とよばれる腫瘍の場合もあります。
嚢胞のみが形成されている場合は良性と診断されるが、多少なりとも充実性の部分を含んでいる場合には悪性=卵巣がんと診断される事が多いです。高齢者に多くみられる腫瘍です。
胚細胞にできるもの
卵巣の内側にあって卵子の素になる胚細胞(卵細胞)にできるタイプの腫瘍です。
多くの場合良性であるが、まれに腫瘍内に歯や毛髪が混入している奇妙なケースも知られており、高年齢層より若年層に多くみられる腫瘍です。
性腺間質にできるもの
胚細胞(卵細胞)を含む卵胞の一部である性腺間質とよばれる組織にできるタイプの腫瘍です。
このタイプの発現はきわめて稀ですが、性ホルモンを分泌するので早熟、男性化といった特徴的な症状を表します。
初期症状が現れない事が多く、排卵や月経にも異常が認められないので発見が遅れるケースが多々存在します。
腫瘍がかなり大きくなった段階では自分で腹部を触って分かるようになり、腫瘍が大きくなって直腸や膀胱を圧迫するようになると便秘や頻尿の症状が現れる様になります。
腫瘍が悪性の場合には血液の混じった腹水が多量に溜まる事があります。
腫瘍の増大によって卵巣が回転すると卵管が捻じる「茎捻転」と呼ばれる状態になる事があり、茎捻転は卵管の血行が止まり卵巣の内部に出血が起こって細胞組織が死滅する危険な状態なので直ちに開腹手術をする必要があります。
卵巣嚢腫と腰痛の関連性
卵巣嚢腫は嚢腫の茎が破裂または敗れることが少なく症状としても出てこない為、気づく事が非常に少ないです。
但し、4㎝~5㎝の大きさになると、激しい運動や姿勢を変えた際に茎捻転になることがあり、茎捻転の症状として、下腹部に激しい痛みや激しい腰痛・嘔吐や吐き気・高熱などの症状が出ることがあり早急に手術が必要となります。
卵巣腫瘍の治療
腫瘍のできた卵巣を手術で摘出するのが卵巣腫瘍の一般的な治療です。
腫瘍が悪性の場合には化学療法を施す事もあります
外科療法(外科手術)
卵巣がんの治療は、主治療として手術にて可能な限り摘出します。
「卵巣」「卵管」「子宮」「大網」を切除する手術を通常は行いますが、がんの進行具合によっては「後腹リンパ節」「脾臓」や「大腸・小腸」も切除する場合もあります。
化学療法
卵巣がんは抗がん剤の効果が比較的に高いがんとされ、数種の抗ガン剤を併用します。
ただし、個人差はありますが、副作用としては、吐き気、口内炎、下痢、脱毛などの症状や、腎臓、肝臓に影響が出る場合もあります。
放射線治療
合併症などで治療できない場合や手術で病巣が全部摘出できなかった場合に用いられます。
放射線を患部へ照射し、がん細胞を小さくします。また最近では骨や脳などの転移や症状を緩和する目的で使用されます。
副作用として、倦怠感、食欲不振、吐き気、などがあります。
放射線の照射を受けた部位には粘膜炎、皮膚炎等が起こる場合があります。