腰痛治療に関する記事

あなたに合う治療法は?腰痛治療、様々な手術の比較。メリットやデメリットについて|腰痛の治療 手術について | 腰痛名医.com

2017年9月6日 2024年06月28日 投稿者: oj-youtu

 

腰痛のタイプ

腰痛は日本の国民病と言われています。国内では約3000万人が腰痛で悩んでいるそうです。

腰痛は急性腰痛と慢性腰痛の二つに分けられています。

急性腰痛

急性の腰痛は、痛みが発生してから約1ヶ月で痛みがおさまる腰痛のことを言います。急な痛みが腰を激しく襲い、代表的な症状として「ぎっくり腰」があります。

慢性腰痛

慢性的な腰痛は毎日の腰への疲れが蓄積しており、筋肉が緊張して張ったり凝ったりして、重く鈍い痛みがじわじわと長期間続きます。急性期とは異なり、急に痛みがおさまる、完治することはありません。

また、腰痛を次のようなタイプにも分けられています。

筋性腰痛

腰部の筋肉に負担がかかることで発生する腰痛です。同じ姿勢を長時間するデスクワーク、運輸業など肉体労働の方によく見られます。

前かがみ腰痛

前屈した際に発生する腰痛です。体幹の筋力が低下している方、姿勢の悪い方などに多いです。

のけぞり腰痛

腰を反った際に引き起こされる腰痛です。椎間関節に負担がかかることで痛みが生じます。腹筋が弱く反り腰になっている人に起きやすく、女性に多く見られます。

お尻腰痛

骨盤の関節の仙腸関節に炎症が原因で痛みが発生します。産前や産後などの女性に起こることが多いです。

腰痛の保存的治療

腰痛ではまず保存的治療で対処することが多いです。

薬物療法

薬物療法では炎症や痛みを抑える目的で、非ステロイド性消炎鎮痛剤、筋弛緩剤、オピオイド鎮痛薬、神経性疼痛緩和薬などを服用します。

メリット

  • 痛みなどの症状を和らぐことができます。

デメリット

  • 症状が消失するところまで薬物療法を継続しますので、長期間にわたって薬を服用しなければならない場合があります。
  • 腎機能、肝機能障害など持病のある場合は、薬物療法を行えない場合があります。
  • めまい、眠きなどの副作用があります。
  • 多用することで薬物依存になってしまう恐れがあります。

神経ブロック

神経ブロックは、薬物療法で効果がなかった場合、また痛みが強い場合に行います。神経を麻痺させることで特定の部位の痛みをとるために有効な治療法です。

メリット

  • 切開をせず身体への負担が軽いです。

デメリット

  • ブロック注射を長期間で行うことで、神経を傷つけてしまう恐れもあります。
  • 合併症がある場合、患者が高齢の場合は、効果が現れない場合もあります。

運動療法

ストレッチなどのリハビリを行うことで腰痛の改善を図る場合があります。また、手術等ほかの治療を受けた後に、予防の目的で運動療法を取り入れることも効果があります。

メリット

  • 筋肉を鍛えることで、痛みなどの症状を和らげます。

デメリット

  • 正しくない方法で運動をする場合や、無理して運動を継続する場合は、改善どころか腰痛を悪化させてしまう恐れがあります。

腰痛治療としての外科的手術

一般的には、数か月間保存療法を行っても改善が見られない場合、外科的手術が提案されます。

LOVE法

椎間板ヘルニアの手術として、過去から一般的に行われている手術です。全身麻酔の外科手術で背中を5cmも切開し、目視下にて脊椎の周辺にある神経を避け、靭帯や椎弓などの一部を削ったり、ヘルニア部分を切除する外科手術です。

メリット

  • 様々な椎間板ヘルニアに対応できます。
  • 目視下の手術にて病変の見落としが少ないです。
  • 健康保険が適応されます。

デメリット

  • 切開の範囲が広がるため、体の負担が大きく、入院期間が約3週間と長いです。

MED法(内視鏡下椎間板ヘルニア摘出術)

椎間板ヘルニアの中~重度に適応される手術です。全身麻酔にて、背部を約16mm程切開し、外筒管と内視鏡を挿入して、内視鏡にて突出したヘルニア部分を切除します。

メリット

  • 筋肉の剥離が少なくて済み、術後の痛みも小さいです。
  • 健康保険が適応されます。

デメリット

  • 術後の傷跡はやや大きいです。
  • 入院期間は1~2週間程かかります。
  • 手術の技術も熟練を要しますので、専門的な病院でないと手術を受けることができません。

PELD法(経皮的内視鏡ヘルニア摘出術)

大きい椎間板ヘルニアで、痛みもかなり強いと感じられる場合はPELD手術が実施されます。局所麻酔で、背中から操作管と呼ばれる管を挿入、その管から内視鏡を通してヘルニア部分を確認しながら摘出します。

メリット

  • 術後の傷跡は6~7㎜と割と小さいです。
  • 切開部分が小さく、術後の痛みが小さいです。
  • 健康保険が適応されます。

デメリット

  • 椎間が狭い場合や脊柱管狭窄症、すべり症などを合併している場合はPELD法を行うのが難しいです。

脊椎固定術

脊椎が不安定である時によく行われる手術です。全身麻酔にて、背中を2~3㎝程度切開して、問題となっている椎間板を取り除き、上下の椎体をチタン製のケージを入れてネジとロードで固定します。1~2週間の入院期間が必要です。

メリット

  • 腰椎が不安定な場合、不安定な部分を固定できます。
  • 健康保険が適応されます。

デメリット

  • 侵襲が大きく、傷も大きいです。
  • 入院期間は約1~2週間で長いです。
  • 体に入る金属のスクリューなどで筋肉が傷められたり、腰部の動きが制限されたりします。
  • 術後は隣接の椎間板などに負担がかかり、そこに脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアが発生することがあります。
  • 骨粗鬆症で骨が弱い場合は固定した背骨がつぶれてしまうことがあります。

腰痛の低侵襲治療

近年は、ヘルニア部分を摘出する一般的な外科的手術の他、損傷した椎間板の治療も行われています。手術と違って、入院が必要なく、日帰りで治療を受けられることもあります。

PLDD(経皮的レーザー椎間板髄核減圧術)

局所麻酔にて、背中から患部の椎間板ヘルニアの部分に針を刺し、刺した針の経路にレーザーファイバーを通し、椎間板の中にある髄核をレーザーで焼くことで、神経の圧迫を軽減させ、痛みや痺れを改善させます。

メリット

  • 椎間板ヘルニアだけでなく、非特異的腰痛に対しても効果があります。
  • 外科的手術より、患者様への身体の負担が少ないです。
  • 施術時間も15分程度なので、日帰りで治療が受けられます。

デメリット

  • すべての症例の椎間板ヘルニアに適応されません。/li>
  • 健康保険適応外です。

PODD(経皮的オゾン椎間板減圧術)

局所麻酔にて背中より患部の椎間板ヘルニアへ針を刺し、刺した針の先端よりオゾンと酸素の混合ガスを注入します。オゾン酸化により椎間板ヘルニアの容量が縮小し、神経への圧迫が軽減されます。患部の消炎効果があるため、PLDDが適応されない患者様でも治療を受けることが可能です。

メリット

  • 手術の時間が短く、術後の傷跡も小さいです。
  • 副作用や合併症のリスクが少ないです。
  • 日帰りで治療が受けられます。

デメリット

  • 全てのヘルニアに対して有効ではありません。
  • 疼痛の緩和が弱く、複数回施術が必要な場合があります。
  • 健康保険適応外です。

ヘルニコア(椎間板内酵素注入療法)

ヘルニコアは、椎間板内に酵素を含んだ薬剤を注入することで、椎間板の組成を変化させてヘルニアを消失させます。通常は1~2日の入院が必要です。椎間板内酵素注入療法は一生に一度のみであり、再治療ができません。

メリット

  • 手術の時間が短く、術後の傷跡も小さいです。
  • 健康保険が適応されます。
  • 入院期間が1~2日で短いです。

デメリット

  • 一生に一度のみであり、再治療ができません。
  • ヘルニアの形や出ている位置によっては、治療適応外となる場合もあります。

セルゲル法(椎間板修復インプラントゲル治療術)

先進治療方法の一つで、エビデンスがしっかりしている治療法では最も新しい治療法です。椎間板ヘルニアの根本原因である椎間板の修復が可能です。椎間板のボリュームが減少することがなく、治療後に薬剤がゲル状のインプラントとして椎間板に残りますので、椎間板が温存されることが特徴です。

メリット

  • 他の治療法では不可能であった「椎間板の修復」が可能なため、根治的治療になりえます。
  • 椎間板ヘルニアだけでなく、幅広い疾患に対して適用できます。
  • 入院が必要なく、日帰りで治療できます。
  • 外科手術後に痛みがとれなかった方や、再発してしまった場合でも治療を受けられます。
  • 80歳以上の高齢者でも治療を受けることができます。

デメリット

  • 椎間板が潰れてほとんどなくなってしまっているような場合は治療適用外となります。
  • 自由診療のため治療費が高額です。